📰今日のニュース
☝️一面のワケ
防衛力強化という国家の目標が、防衛の実績を持たない異業種企業まで動員し始めていることを示す出来事だから。
❓今日の問
楽天の防衛参入は日本に何を問いかけるのか
📚目次
楽天が10年かけて育てたドローン事業
ドローンが変えた戦場の風景
赤字の携帯事業を穴埋めする新規事業
📝要点
楽天と聞いて、防衛やドローンを思い浮かべる人はまずいないでしょう。
ところが今回、その楽天がドイツの有力な防衛スタートアップ・ヘルシングと提携し、陸上自衛隊向けにドローンを提案するというニュースが一面を飾りました。
一面トップとして扱われた理由は大きく3つあります。
EC・金融の会社が防衛分野の窓口役を担うという組み合わせの意外性
ロシアのウクライナ侵攻や中東情勢を境にドローンが安全保障の主役級の装備となり日独の防衛協力そのものが動き出しているという政策的な広がり
今回の提携が、日本の防衛装備を巡る方針そのものが大きく転換しつつある流れの一部として起きている
という点です。
そもそも楽天がなぜこの役割を担えるのか、なぜいまドローンがこれほど重要になっているのか、そして楽天はなぜこの分野に踏み込むのかを見ていきます。
🚁楽天が10年かけて育てたドローン事業
楽天と聞くと、多くの人はネット通販や銀行、携帯電話を思い浮かべると思います。
ですが実は、2015年の終わりごろから配達員不足を見越してドローンの実用化に取り組んできた会社でもあります。
2016年には日本で初めてとなるドローン配送サービスを始め、離島や過疎地への配送実証を重ねながら、2020年には専門の子会社を立ち上げ、2022年には業界大手企業を買収しました。
今では30以上の自治体と提携するまでになっています。
もうひとつ、意外と知られていないのが創業者の三木谷氏とウクライナとの関わりです。
ロシアの侵攻直後から個人で多額の寄付を続け、2025年には楽天としてウクライナ政府機関と組んで、同国の防衛スタートアップ数社の日本進出を後押しするブースまで出展していました。
💣ドローンが変えた戦場の風景
ドローンは今、世界中の戦場で存在感を増しています。
ロシアによるウクライナ侵攻では、安価な小型ドローンが戦車や兵士の動きを封じ、戦況そのものを左右する場面が繰り返し伝えられました。
中東でも、イランが開発・供給してきたドローンが周辺国や武装勢力の間で使われ、大規模な攻撃の手段として存在感を強めています。
こうした流れを受けて、日本の防衛政策でもドローンの位置づけは大きく変わりました。
無人機関連の予算は、数年前には数百億円規模だったものが、今年度の予算案では2700億円を超える規模まで膨らんでいます。
今回の楽天とヘルシングの提携も、こうしてドローンの重要性が急速に高まっている流れのただ中で起きている出来事です。
📱赤字の携帯事業を穴埋めする新規事業
楽天がこの分野にこれだけ踏み込む背景には、経営上の事情も透けて見えます。
主力の携帯電話事業は7期連続で最終赤字が続いており、他社から借りていた通信回線も、今年9月末で契約が切れて縮小に向かう見通しです。
基地局への投資をどう賄うか、新しい収益源をどこに求めるかは、切実な課題になっています。
もともとの関わりは三木谷氏個人のウクライナへの思い入れから始まったものでしたが、今ではその延長線上にある防衛分野への関与が、赤字続きの携帯事業を支える新しい事業の種としても機能し始めているようです。
理念から始まった動きが、いつの間にか経営の必要性とも重なり合っている格好です。
🤔私はこう考える
「武器の調達」に本格的に力を入れ始めている日本政府ですが覚えておきたいのが防衛装備移転三原則が今年、抜本的に改正されたことです。
これまで救難や輸送など限られた用途に絞られていた移転の枠が撤廃され、殺傷能力のある装備の輸出も原則可能になりました。
戦後日本は平和主義を掲げ、戦力を持たないという立場を国の内外に示してきました。
そこからの転換だけに、国内でどう説明するかと同じくらい、他国からこの変化がどう見られているかにも自覚的である必要があると思います。
装備を整えることと、その意図や歯止めを丁寧に説明する外交努力は、本来セットであるべきものです。
近隣諸国の緊張感を無駄に高めないためにも、今後、ますますの外交努力が必要になりますが、果たしてそのことをご理解いただけているのかは疑問だなと思っています。
👀この記事で身につけておきたい3つの視点
楽天は2016年からドローン事業を積み上げ、創業者の三木谷氏個人のウクライナ支援を通じて同国政府とも連携してきた実績を持っている
ウクライナや中東での実戦を経てドローンは安全保障の主役級の装備となり、日本の防衛予算でもその重要性が急速に高まっている
楽天がこの分野に関わる背景には、携帯事業の赤字を新しい収益源で補いたいという経営上の事情も重なっている
💡結論・メッセージ
楽天とヘルシングの提携で実際に動いているのは、まだドローンの実証試験と輸入の窓口役という段階にすぎません。
それでも防衛力の強化という国家の目標が、もはや実績ある大手だけでは支えきれず、楽天のような異業種の担い手まで巻き込む段階に入ったことを、この一件は映し出しているのかもしれません。
📰今日のその他の一面
競合する大手2社が国内線でダイヤを調整するのは初めてで、便を分散させ搭乗率向上と収益改善を狙います。背景にはビジネス需要の減少やコスト増による採算悪化がある一方、地方路線は住民の移動手段として欠かせないため、国は運賃を伴わないダイヤ調整なら独占禁止法上問題ないとの見解を示しており、今後は他路線でも同様の協調が広がる可能性があります。
背景には人工知能関連や半導体需要の拡大、円安効果があり、電気機器などが大幅な増益を牽引しています。一方で国内企業物価指数は前年比7%台の高い上昇が続いており、原材料や物流コストの上昇が企業収益を圧迫しています。値上げによる価格転嫁を進められる大手企業は収益を伸ばせますが、価格交渉力の弱い中小企業や下請け企業はコスト増を吸収しきれず、業績格差が広がる懸念があります。
イスラエルは10月27日、ガザ戦争開始後初となる総選挙を実施します。ネタニヤフ首相の去就を問う事実上の国民投票とされ、対イラン攻撃の「成果」を訴えつつも支持率は伸び悩んでいます。同時期に控える米中間選挙とあわせ、両国の指導者が停戦や対イラン方針をめぐり異なる思惑を抱く中、選挙結果次第で中東の秩序が組み替わる可能性があります。ただしイスラエルで政権交代が実現しても、根深い分断は残り、地域の混乱が短期間で収束する見込みは薄そう。そもそもなぜ手を出してしまったのかという疑問が残り続ける。
✉️追伸
お盆の時期は戦争関連の番組が多くなりますが、改めて「戦争は外交の失敗」であるということを感じています。


