📰今日のニュース
☝️一面のワケ
熊本の主要拠点が地震で止まり、日本の基幹産業が抱える供給網の弱さを改めて突きつけたから。
❓今日の問
備えの重要性は分かっていても、なぜ進まないのか。
📚目次
備えの真価は「戻す力」で問われる
災害前提で備える発想、BCP
備えの厚みは、企業規模で大きく違う
📝要点
熊本県で最大震度7の地震が発生し、半導体大手や自動車メーカーの熊本の拠点が相次いで生産を止めました。
これらの拠点は、2016年の熊本地震でも被災し、出荷停止が長期化した経緯があります。
企業側はこの教訓を踏まえ、耐震性能の強化や在庫の積み増しといった対策を進めてきました。
それでも今回、発災からまだ日が浅いいま、供給がいつ・どれだけ元に戻るのかは、まだ誰にも見通せない段階にあります。
こうした事態にどう備えるかを考える計画は、事業継続計画(BCP)と呼ばれます。
備えの重要性は誰もが分かっているはずなのに、なぜ実際の備えはなかなか進まないのでしょうか。
🌊備えの真価は「戻す力」で問われる
熊本県で最大震度7を観測した地震により、ソニーグループの画像センサー工場やルネサスエレクトロニクスの車載半導体工場、台湾積体電路製造(TSMC)の熊本工場が相次いで稼働を止めました。
トヨタ自動車やホンダの熊本の工場も生産を停止しています。
これらの拠点の多くは2016年の熊本地震でも被災し、出荷の正常化までに数か月から1年半を要した経緯があります。
この経験から半導体各社は、この10年ほど耐震性能の強化や在庫の積み増しに投資を重ねてきました。
災害はいつどこで起きるか予測できない以上、備えの本当の価値は「防げたか」ではなく、止まった後にどれだけ早く機能を取り戻せるかで試されることになります。
今回の建物や設備の被害は2016年より軽いとみられ、TSMCも構造的な異常はないとしています。
各社が示しているのは、当面の稼働停止が「今月末まで」といった目先の期間だけです。
これは発災からわずか数日というこの段階で、各社がつかめている範囲をそのまま伝えているにすぎません。
生産や物流がいつ元通りに戻るのかという、その先の見通しまではまだ誰にも見えていません。
災害前提で備える発想、BCP
実はこうした供給の目詰まりは、地震に限った話ではありません。
2025年には海外の半導体メーカーの出荷停止など、国際情勢が原因で自動車メーカーが工場の稼働を止める事態も起きています。
原因が違っても、特定の拠点が機能を失うと生産全体が止まるという構図は共通しています。
こうした事態にあらかじめ備えておく計画は、事業継続計画(BCP)と呼ばれます。
代替の生産拠点をあらかじめ確保しておいたり、どの部品がどこで作られているかを取引先同士で共有できる仕組みを業界内に整えたりするのが、その具体例です。
災害や供給の途絶が起きてから対応を考えるのではなく、起きる前提で手順を用意しておく発想が、BCPの核にあります。
↔️備えの厚みは、企業規模で大きく違う
ただ、このBCPがどこまで進んでいるかは、企業規模によって差が大きいのが実情です。
内閣府の調査では大企業の4社に3社ほどがBCPを策定済みと答えた一方、中堅企業は半数程度にとどまります。
中小企業に絞った別の調査では、策定済みの企業は2割に届いていません。
今回、体力のある大企業についても、発災から日が浅いこの段階では復旧の見通しを描ききれていません。
備えの厚い大企業でさえそうなのですから、備えの薄い中小企業やその先の取引先には、この不確実性がなおさら重くのしかかりそうです。
今回の熊本地震は、BCPという備えの重要性を改めて浮き彫りにしたといえそうです。
🤔私はこう考える
BCPの重要性そのものは、多くの企業がすでに理解していたはずです。
それでも実際に手をつけるところまで進んでいなかった企業は、決して少なくなかったのではないでしょうか。
備えを整えるには、拠点を分散させたり在庫を積み増したりするコストがかかりますし、専任の担当者を置く余裕がない会社も多いはずです。
加えて、地震や供給の途絶は「いつか起きるかもしれない」という程度の話にとどまりやすく、目の前の業務ほどには優先順位が上がりにくい構造があります。
防災や復旧への投資は、平時にはコストばかりが目に見え、その効果は実際に災害が起きて初めて実感できるものです。
だからこそ、他の経営課題に比べて後回しにされやすかったのだろうと思います。
👀この記事で身につけておきたい3つの視点
災害への備えの価値は、防げたかどうかより、止まった後にどれだけ早く機能を戻せるかで測られるようになっている
防ぐ備えの成果(被害の軽さ)と、戻す備えの実効性は別々の指標であり、片方の結果がもう片方を証明することにはならない
BCPのような備えの厚みは、体力のある大企業ほど進み、中小企業や取引先企業ほど薄くなる傾向がある
💡結論・メッセージ
今回の熊本地震が問いかけているのは、耐震強化や在庫の積み増しといった防災の備えが十分だったかどうかだけではありません。
発災から日が浅いいまの時点では、供給がいつ・どれだけ元に戻るのかという復旧の見通し自体が、まだ描ける段階にないということです。
これは対策が足りなかったからというより、災害そのものが抱える不確実性の大きさを映しています。
だからこそBCPは、防ぐ備えと戻す備えの両方をあらかじめ用意しておくものとして設計される必要があります。
そしてその備えを、体力のある大企業だけでなく、備えの薄い中小企業やその先の取引先にまでどう行き渡らせるかという問いも、合わせて背負っています。
📰今日のその他の一面
25年調査で、車載電池やデジタル端末など複数分野で中国企業の世界シェアが4割前後に達していることが分かりました。CATLなど大手が価格競争力と量産体制を武器に海外展開を強めた結果です。「内巻」は従来、過当競争による疲弊やダンピングの温床として批判されてきましたが、実際には技術改良とコスト削減を促し、世界シェア獲得という成果に転化した面もうかがえます。供給過剰という課題は残るものの、内巻を単なる負の現象でなく競争力の源泉として捉え始めたのは個人的に興味深いなと思っています。
少子高齢化により自然減が18年連続で拡大し、東京以外の46道府県すべてで日本人が減少しています。一方、外国人住民は35万3696人増の403万1159人と初めて400万人を超え過去最多を更新、全都道府県で増加しました。1.2億人割れは象徴的な数字であると同時に、人手不足を補う外国人住民の増加という日本社会の構造変化を映す出来事だと言えます。
✉️追伸
10年で同じような地震来るとは思わないですよね。
本当に心が痛い。


