《本日の主題》
半導体の抜け穴は中国が大きいが対応は難しそう
《ポイント》
1.経済制裁により半導体の輸出も規制されていた
2.抜け穴的に中国等からロシアへと流れていた
3.中国の規制を強化する流れは有り得そうだが対応は難しそう
今日の記事はロシアへの輸出規制に穴があるという話。
*これまでのロシア制裁
侵攻直後から先進国を中心にロシアに対する様々な制裁を行ってきました。
主なものは以下の通り。
・ロシアの金融機関への制裁
・銀行間で国際金融取引を行うためのシステムSWIFT(スイフト)からの排除
・ロシア船籍等の港湾利用の禁止
・ロシア産の石油、天然ガス、石炭等の輸入禁止
・半導体等のハイテク製品の輸出禁止
などです。
細かく見ていけばまだまだありますが、ロシアの経済面に圧力をかけるべく様々な措置を行ってきました
*以前から指摘されていた貿易の抜け穴
当初から石油や天然ガスのエネルギー関連はインドや中国を経由して輸入を禁止している国に流れているという指摘がなされていました。
今回、改めて半導体などのハイテク製品も禁輸措置を行っていない国を経由してロシアに流入していることがわかりました。
プーチンも9日の演説で「最新兵器の集中的な増産が進んでいる」と述べています。
最新兵器にはほぼ必ず半導体が必要で、一時期ロシアでは電化製品の半導体を兵器に転用するほどだったわけですがこの演説からも安定した供給があることが伺えます。
*今後考えられる動き
記事内にもありますが、輸出規制の根拠となる日本の法律は「外為法(がいためほう)」と呼ばれる法律です。正式名称は外国為替及び外国貿易法。
外為法では制裁対象とした団体や個人への輸出入の規制を行うことになっているため基本的に迂回されることは想定されていないのだろうと思います。
中国からの流入が多い以上、現在アメリカと足並みをそろえて行っている中国への輸出規制(参考に記事を置いておきます)を強化するというのが一番可能性としては高そうですが、中国からの反発も考えられるためどういう理屈でどのレベルまでの規制にするかはかなり繊細な検討になるはずです。
【参考】
▼先端半導体の対中輸出規制へ 政府が導入調整、日米協調https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA27A530X20C23A1000000/