中国、深まる地方財政難 「隠れ債務」1100兆円
不動産低迷響く 景気の重荷に
《今日の主題》
習近平は「共同富裕」か地方政府の財政かという難問をつきつけられている
《ポイント》
1.異例の3期目決めた習近平の権力基盤は「共同富裕」というスローガン
2.そのため高騰する不動産価格を抑えるための対策を行った
3.しかしその対策が地方政府の財政を圧迫する結果に
今日の記事は中国の地方政府の債務(借金)が積み上がってきているという話。
「なぜ債務が膨れ上がったか」という部分は記事に譲りますが、なぜこういう問題に至ったのかというところをお伝えしていきます。
*習近平(シー・ジンピン)国家主席の拠り所
中国はこれまで国家主席のポストは1期5年で2期まで(つまり10年まで)だと決めていましたが憲法を改正し任期を撤廃。
習近平氏は今年3月から異例の3期目に突入しています。
そんな無茶ができるのも、党内に強力なライバルがおらず国民からの強い反発がないからです。
国民が反発しない大きな理由の1つが「共同富裕(きょうどうふゆう)」というスローガンです。
この間中国は経済発展を遂げてきましたがその中で格差も拡大してきました。
「格差を是正して、すべての人が豊かになっていこう」というのが共同富裕の考え方で、高所得者や大企業に寄付を促しました。
「習近平についていけば私達も良い生活ができるかもしれない」という思いを持ってもらうことが権力基盤の維持に繋がるわけです。
*頭を悩ませる不動産問題
習氏の拠り所であって共同富裕を揺るがしかねない問題が不動産価格の高騰です。
1998年の制度改革以来、不動産価格は上がり続けていました。
不動産価格のの高騰は持つものと持たざるものの格差を広げることになります。
つまり共同富裕とは逆の方向性。
バブル的な不動産価格高騰に対処するべく2020年に不動産開発業者に対する規制を行いました。
この規制で不動産開発業者も困りましたが、土地の売買で財源を確保していた地方政府も困り債務の増加や返済の困難さという今日の記事に繋がっています。
つまり、共同富裕のためには不動産価格の高騰は抑えたいが、そうすると地方財政が逼迫するという難問にぶつかっているというのが今の状況です。