首相「若者の所得伸ばす」 児童手当、来年10月拡充
少子化対策決定、「追加負担なし」道見えず
《今日の主題》
「少子化は先送りできない課題だ」としているわりには本気さが感じられない
《ポイント》
1.少子化は若者世代の所得が要因も対策メニューは効果があるのか疑問
2.財源については議論を先送り
3.政府の本気度がまったく伝わらない
今日の記事は昨日の総理会見について。主題は少子化対策です。
会見の全文は末尾の参考に置いておきます。
*会見のポイント
1.人口動態を見ると2030年代に入るまでが少子化対策のラストチャンス
2.若者世代の所得が大きな要因
3.経済成長と賃上げ、現金給付で対応
4.子育てしやすい職場や社会の実現
5.財源(政策実現のために必要なお金の出処)はこれから決める
といったあたりです。かなりざっくりまとめてますので詳細は会見全文をご覧ください。
*賃上げと現金給付はどこまで少子化対策になるのか
まずは賃金の話から。
実際に受け取る給与から物価の変動を差し引いたものを「実質賃金」と言います。
物価上昇の影響もあり実質賃金は増えていません(参考記事置いておきます)。
続いて現金給付です。メインは児童手当。
中学生までのものを高校生まで期間を延長し、第2子、第3子には増額しました。開始は2024年10月。
児童手当は大幅に増額しないと出生率に増加にあまり影響しないという研究結果があり、この効果がどれくらいであるかは未知数。
*お金の出どころ(財源)について
ここが一番大きいところです。
岸田首相は歳出(政府の支出)を見直して増税などの負担を増やさずに3.5兆円を賄うとしていますが具体的にはまだ何も決まっていません。
少子化については去年から対策が必要だと政府自身が言ってきて今年こそ財源と対策メニューを決めるとしていましたが来年に先送りになりました。
*政府の姿勢について
『少子化は本当に問題なので対応するために増税させてくれ』でも
何にどれだけ使われてどれくらいの効果が見込めるのかを話してくれれば理解はします。
もしくは『中途半端にやるくらいなら多少人口が減っても構わないから、他のことにお金を使おう』という考え方もあると思います。
そういう指針をまったく示さずいったいどこまで実効性と効果があるのかわからないメニューを出してきたこと。
さらには実施するための金額だけ出し財源を明確にしなかったこと。
この2点をとっても政府がどこまで真剣なのかと疑ってしまいます。
【参考】
▼2023年6月13日記者会見https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2023/0613kaiken.html
▼22年の実質賃金0.9%減 給与2.1%増、物価高下回るhttps://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA06CIC0W3A200C2000000/